問いを立てる力を鍛えよう|AI活用の注意点
- 4月16日
- 読了時間: 5分
瀬戸内海の島で漁師をしている、さかえるです。
3月、4月ととんでもなくバタバタしていました。何があったかというと...集落の自治会長になりました。
周防大島に移住して8年目。今の集落に引っ越してからは6年目。2年目に自治会の役員、4年目に副会長、そして今年、住民総会の選挙で自治会長に選んでいただきまして。
小さな集落です。人が減る中で、小さくとも豊かに、今までの暮らしをどう維持していくか。道の補修、街灯の管理、公民館、神社仏閣、水路、海岸、防波堤...。いま所属している自治会、入出金の件数だけで年間400〜500件あるんです。
ちょっとした個人事業1つやるぐらいの規模感、です。
子供もおかげさまで1歳になり、保育園に預けようかと思ったら、最寄りの保育園が閉所...。
過疎地、極まってます。
で、こんな日常の中で思ったわけです。
分身しなきゃいけない、と。
AIで「分身」した話
スーパーサイヤ人は死の淵に立たされると強くなるじゃないですか。通常モードでは、もう回らない。でもこれは自分で招いたことだし、自分が望んでいるところでもあります。
どうにかして分身してやろう、と。
で、今AIを絶賛活用中です。
具体的に言うと、Anthropic社の「Claude」というAIアプリを使っています。
ChatGPTと同じ対話型AIなんですが、Claudeにはデスクトップ版に「Cowork」という機能があって、Word・Excel・PDFの作成や編集、ウェブ検索、さらにはCanvaやWix、Gmailなど外部サービスとの連携まで、PCの事務作業をほぼAIに任せられます。
自治会の議事録、案内文書、会計資料...こういった書類仕事のほぼ全てをAIにお願いしています。
自分が作るのと同じ、あるいはそれよりちょっと精度が高い下書きが上がってくるようになりまして、1人分は分身できている感じがします。
普段の考え方や価値観も含めて、随時AIにパーソナライズさせている。だから使えば使うほど精度が上がっていくんです。
...と、ここまでは良かった。
でも、スタッフに使ってもらうと問題が...
AIがこれだけ使えるなら、スタッフにも使ってもらおうと。
で、見ていて気づいたことがあって。
AIの回答をそのまま信じてしまう人と、「ん?」と立ち止まれる人の差が、想像以上に大きい。
わしが使っているAIに「このチャンネル全部読んだ?」と聞いたら、「全チャンネル読み取り完了です」と返ってきた。でも、なんか違和感があって。「本当に全部確認した?」と詰めたら...「正直に言います。確認していないチャンネルがまだあります」と白状しました。
AIが自分で言ったんです。「おそらく終わった」という推測を、確認事実のように伝えてしまいました。これは不誠実でした、と。
こういうことが、普通に起きるのが怖いところですが、むしろ人間とのやりとりでも「相手が正しいとは限らない」というのは同じですよね。
「嘘や推測は排除してもらいたい」
これ、わしがAIに言った言葉です。
AIって、分からないことでも「〜と思われます」「〜でしょう」と自信満々に返してくる。しかも、聞かれたことには何かしら答えようとする。だから、やってないことでも「やりました」と言ってしまう。
悪気はないんです。でも、結果として嘘になる...。
だから、違和感を感じたら必ず「なぜ?」「本当に?」と詰める。これをやらないと、間違った情報をもとに動いてしまう。
スタッフの壁打ちが下手な問題
スタッフにAIとの壁打ちをしてもらっているんですが、困っているのが、壁打ちが下手なこと。
どういうことかというと、AIに「CTRを上げるにはどうすればいいですか?」と聞いて、返ってきた答えをそのまま実行してしまおうとしてしまいます。
これ、使い方が逆なんです。
正しい使い方は、先に自分の仮説を持ってから聞く。
「今YouTubeのサムネイルクリック率(CTR)が5%で、7%を目指しています。直近10本の動画でCTRが高かったものはサムネイルに〇〇の特徴がありました。この仮説で進めようと思いますが、抜け漏れはありますか?」
こう聞くと、返ってくる回答の精度がまるで違う。
自分の仮説をぶつけて、壁打ちさせる。AIに考えてもらうんじゃなくて、自分の考えを検証させる...。この違いが大きいですし、何もAIを使う話ではなく「人とのやり取り全般で大切になることでもあるな」と。
一周回って「知識」が大事になる
AI時代に大事になるのは、問いを立てる力。回答はAIがしてくれる、という方向になっていくのは間違いないと思うのですが、
でも、じゃあどうしたら問いを立てられるようになるかというと、普段から「これってどういうことなんだろう?」と考える習慣に加えて、やっぱり知識の量なんだろうなと思っています。
仮説を立てるには、前提となる知識がいる。知らないことには疑問を持てない。
だから...一周回って暗記が大事。知識があるから問いが生まれる。問いがあるからAIを使いこなせる。
うちのスタッフには「AIへの情報提供の時間を取る」ことで合意したのに、どうも反映されていない感じがしていた。結局、考える時間を取れていないことが課題だったんです。
考える時間がないと、問いが生まれない。問いがないと、AIに聞いても一般論しか返ってこない...。
AIは「答え」をくれない
AIは情報を整理してくれるし、選択肢を出してくれる。壁打ち相手としては最高です。
でも、最終的な判断は自分でしなきゃいけない。
そのためには、自分の中に軸がないといけない。仮説がないといけない。
「AIが言ってたから」で動く人と、「AIの意見も聞いた上で、自分はこう判断する」と言える人。どっちが成長するかは、言うまでもないですよね。
AIを使いこなせるかどうかは、ツールの問題じゃない。
自分の頭で考える習慣があるかどうかの問題です。
問いを立てる力。質問力。
自治会長をやりながら、漁師をやりながら、スタッフを育てながら...全部やるには、この力がますます大事になってくると思っています。



